【お金の話】現代貨幣理論(MMT)とは~これからの経済対策の本流~

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現代貨幣理論(Modern Monetary Theory:通称MMT)とはアメリカの経済学者ステファニー・ケルトンが提唱した経済に対する理論の一つです。

この理論は、現在の経済を考えていく上では避けては通れないほど一般的にも広まってきている経済理論となっています。それでは現代貨幣理論とは何なのかについて考えていきたいと思います。

現代貨幣理論(MMT)の内容

MMTでは、変動相場制でかつ自国通貨を持っている政府は、税収ではなく、インフレ率に基づいて財政支出をするべきだという財政規律を主張しています。現在では通貨発行の裏付けとして金という有形資産を必要としない管理通貨制度を各国とも用いているため、通貨は政府によって自由に発行できる公共的に独占的な状態にあります。このため、税金を取ることでそれを財源とする必要はなくなっていると主張します。

また、これらの考えの基本となる理論として以下のような内容を展開しています。

  • 貨幣は商品ではなく信頼に基づく借用関係の記録(負債の記録)である
  • 貨幣は銀行等が借用関係の記録の記録を書き込む
  • 世の中に貨幣が存在するのは、政府が一番はじめに貨幣を支出したからである
  • 貨幣の信用・価値は、国家の徴税権によって保障されている

現代貨幣理論が懸念するリスク

MMTは、政府の財政政策は完全雇用の達成・格差の是正・適正なインフレ率の維持等、財政の均衡ではなく経済の均衡を目的として実行すべきでありと主張します。しかし、こうした経済的な均衡を目指して新貨幣を発行し貨幣の流通量を増やしすぎてしまった場合にはインフレーションのリスクがあると考えられています。MMTでは、こうしたインフレーション対策には増税による超過貨幣の回収で対処できると考えます。

このようにMMTでは財政赤字の拡大を容認しています。これは、自前の通貨を持つ国がいくら自国通貨建てで国債を発行しても債務不履行(デフォルト)に陥ることはなく財政破綻しないからという理屈に基づいているためです。

MMTは理論としては納得できるものがあります。現在の日本ではデフレだと言われているため、MMTの理論に基づいて財政出動して経済対策をすれば良いのではないのかなと思います。しかし、現実ではなかなかうまくいっていないのはなぜなのでしょうか。

現在の日本での議論

日本国内ではMMTが広まっている一方で、MMTとは真逆のプライマリーバランスの均衡の重要性を政財官界や学術界では主張しており、大手マスコミでもこれにならった報道が多く見受けられます。

プライマリーバランスとは

基礎的財政収支(プライマリーバランス)とは、公会計において、過去の債務に関わる元利払い以外の支出と、公債発行などを除いた収入との収支のことを指します。

プライマリーバランスが改善していく方向であれば、名目GDPに対する国債残高の増加スピードを抑えることが出来財政破綻にはならないとされています。しかし、アルゼンチンとギリシャは増税と歳出削減に励みプライマリーバランスの黒字化を達成した結果、景気の悪化、税収が減り、財政破綻をしたという事実が存在しています。

プライマリーバランスとMMT

アルゼンチンやギリシャの例を見るとプライマリーバランスの均衡を重要視するのは、間違った対応のようにも思えます。しかし、日本ではこれまで財政赤字を非難することは経済論的に常識であり主流派でありました。そのため、MMTという新しい理論には見向きもされず、現在でもプライマリーバランスの均衡を目指した財政再建・財政健全化の政策が現実としてとられています。

しかし、国会議員の中でも日本の未来を考える会として、MMTを支持する有識者を講師を招き勉強会を行っており、それを基にした政策提言などMMTが徐々に広まりも見せてもいます。

まとめ

現代貨幣理論は理論的な思考に基づいた一つの真実であるといって良いでしょう。少なくとも金本位制から管理通貨制度に移行した1971年以降は、MMTの理論の方が現代の貨幣制度について正しい認識をしていると思います。

ただし、MMTが正しいのであれば、どんどん貨幣や国債を発行して経済対策をすれば良いのではないかと安易に考えてしまわないことも大切だと思います。現に日本では国債発行などの財政出動を年々しているにも関わらずなかなか経済が上向きになっておらず、この原因についてしっかりと考えていかないといけないと思います。財政出動は単なるカンフル剤に過ぎずこれだけに頼った経済対策では本質的な解決にはならないのだと思います。

経済が上向きにならない主な原因には、徴税方法(消費税)、企業の生産性・競争力の低下、そして私たちの経済への関心の無さが挙げられると思います。特に私たちの多くが経済に対して無関心でありながら、自分たちの生活が良くならないことに対して文句を言う資格は無いのではないかと思います。

私たちの生活にとって本当に必要な政策がとられるように声をあげていくことは大切なことであり、今の民主国家である日本の中に住んでいる私たちにとって声をあげることはそんなに難しくありません。MMTが徐々に広まりを見せていますが、それだけで勝手に経済が良くなるというわけではありません。私たちの一人一人が経済や政策などについて正しく理解し、正しいことを進めようとしている人達を後押ししていくことはとても大切なことなのだと思います。

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