【社会契約論】現代国家の基礎となる思想

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封建制度の概略図

中世ヨーロッパでは絶対王政であり、封建制度ものもとにありました。この封建制度を受け入れつつ、国民の権利・自由の保障を説いていく「自然権思想」が論じられるようになりました。自然権思想で有名な思想家にはホッブズ、ロック、ルソーがいます。

自然権思想は主に以下の3つが軸となっています。

  1. 人間は生まれながらにして自由かつ平等であり、生来の権利を持っている(自然権)
  2. その自然権を確実なものとするために人民同士が社会契約を結び政府に権力の行使を委譲する(社会契約論)
  3. 国民は国家(政府)に抵抗する権利がある(抵抗権)

社会契約論とは簡単にいうと「人間が人間らしく生きていくためには国家が必要だ」ということです。人間が本来どういった状態なのを前提としながら、ロックやルソー達は国家のあるべき論を展開していきます。

ホッブズの思想

著書:リヴァイアサン

人間は本源として恐怖という感情を持っているため、全ての人(万人)は全ての人(万人)に対して闘争意識がある自己中心的な存在と論じています。

そのため、政治社会のない状態だと世の中は弱肉強食となってしまい、人のもつ自然権は保障されなくなるとホッブズは考えました。そのため、社会契約により自然権を守るための強力な国家をつくり、人々はそれに絶対服従するべきであると論じています。ホッブズの有名な著書の中では、国家を旧約聖書で登場する最強の海獣「リヴァイアサン」に例えています。

ロックの思想

ロックは人間はもともとはお互いを思いやる感情を持っており、自然状態では自由・平等でお互いを尊重しあうものと考えました。しかし、その状態は非常に不安定であり、犯罪が発生してしまうことを想定し、犯罪による社会の混乱を防ぐ役割として国家が必要と論じています。

そして、国民の代表者が議会に集り政治をする間接民主制を提唱しました。その議会に権力を信託し力を与える代わりに、国民にはその力が正しく用いられない場合は国家に対して抵抗する権利をもつことで対抗できると考えました。

ルソーの思想(社会契約論)

ルソーの肖像画

ルソーは人間は自由意志を持ち自己の欲求を満たすために行動し、生存の障害が発生したら解決のためお互いに協力関係を求めていくと論じました。こうして出来る協力関係は社会契約として認識され国家は人間の自由な意思が保障されなければならないと続きます。そして、直接民主制によって直接自分の意思を示すことで国民の主権が行使できると考えました。

また、文明社会では私有財産による差や人間の徳が退廃することで人間とは生まれながらに不平等であると指摘しています。そのため、個人が持つ財産や自分自身を含むすべての権利を共同体(国家)に譲渡することで、全ての人民が自由・平等になれるものとしています。

中世ヨーロッパの歴史と社会契約論

17世紀の西ヨーロッパは絶対王政の時代でした。ホッブズは絶対王政を擁護する立場でありましたが、ロック・ルソーと続く中で徐々に現代に近い民主政治の思想が構築されていきます。ホッブズとロックは国家よりの思想を展開していましたが、ルソーは完全に当時の国家やそれを支える宗教(キリスト教)とは反する思想であったため、激しい弾圧を受けることになりました。それでもルソーが社会契約論を展開していったのは、戦争が続き市民が疲弊していく中で、人間らしく生きるとはどういったことなのか悩んだ結果なのではないかと思います。

社会契約論と中世ヨーロッパ年表

そして、社会契約論はアメリカ独立宣言、フランス人権宣言に大きな影響を与え、イギリスでの産業革命を経て世界は大きな変化を向かえていくことになります。

現代国家と自然権保障について

ルソーの社会契約論の後、民主主義国家が誕生し国民の主権は徐々に守られるようになっていきました。

日本国憲法では「基本的人権の尊重」「国民主権」「平和主義」は三大原理として記されており、私たちの自然権は国家により保障されています。現在の日本国家は多少の不満はあったとしても、生命を脅かされることはなく、人間らしく生きていくための一定水準の生活は保障されています。

ただし、もう少し目線を広く持っていくと、世界から戦争はなくなることはなく、また貧富の差はさらに拡大しています。また、現在では国家規模を超えた企業が台頭してきているように、私たちもまた日本を超えた世界という目線でモノゴトを考えていくことが求められてきています。そうした時、私たちがこれからの現代社会を考えていく上で、現代国家の基礎となった社会契約論について学んでいくことは十分に意義のあるものに感じます。少なくとも、先人たちが勝ち取ってきた国民主権を行使する力である「選挙」というものをもっと大事にしていくべきなのだと思います。

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