【星の王子様】一番大切なものとは何か~絆を結ぶ~

書評
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「星の王子様」の作家 サン=テグジュベリ(1900~1944)はフランス・リヨンに生まれ、兵役で航空隊に入隊します。その後、航空会社の路線パイロットとなり、1929年に「南方郵便機」で作家としても活動を開始します。いくつかの作品を発表し「星の王子様」を発表した後、第二次大戦時に偵察隊の搭乗員として出撃を重ね1944年に出撃したのが最後になりました。「星の王子様」は1943年に発行されて以来、世界中で読まれ発行部数は4千万部以上に達した世紀の大ベストセラーの一つです。そして、サン=テグジュベリはパリのパンテオンにプレートが掲げられ、50フラン紙幣の顔になったこともあります。

「星の王子様」の物語は大きく2人の登場人物によって、進められていきます。

一人目は砂漠に不時着したパイロットです。このパイロットは作者自身といえる存在で、このパイロットの目線で物語は語られていきます。二人目は本の題名にもなっている星の王子様です。星の王子様は突然現れ、どこか遠くの星からやってきたということぐらいしかわかりません。そして、物語が進んでいくと徐々に星の王子様のことがわかってきます。

サン=テグジュベリの生い立ちを考えると、2人の登場人物は彼の分身のようにも思えてきます。パイロットや航空隊として空を飛び地球を高い視点から見ていると、「星の王子様」の作中で描かれた様々な思いや考えが浮かんできたのではないでしょうか。「星の王子様」は子供向けの寓話のような題名や愛らしい挿絵に飾られていますが、むしろ大人のためのファンタジーといった方が良いかもしれません。人と人が生きていくことについての豊かさに満ちた内容は、美しい詩のような文章で語られます。その内容は私たちに新しい発見や生きていく上での新しい力を得ることが出来るかもしれないほどといってもよいと思います。

では「星の王子様」で語られている「一番大切なもの」とは一体何なのか、私なりの感じたことを紹介したいと思います。

一番大切なものは目に見えない

一番大切なものとは一体何なんでしょうか。「あなたにとって大事なものは何ですか?」ときかれると、なんと答えましょうか。家族、友人、お金、クルマ、時計、時間など、ぱっと思いつくものでこんな感じで答えてしまうかもしれません。しかし、これらは本当に大切なものなのでしょうか。

少なくとも家族は大切だと思うかもしれません。なぜ家族は大事だと思うのでしょうか。物語の中で次のように語られています。

きみのバラをかけがえのないものしたのは、きみが費やした時間だ。きみが費やしたもの、絆を結んだものに責任を持たなければならない。

星の王子様は自分の星に1本だけあったバラをとても大事に育て、そのバラをとても美しいと思います。しかし、地球にくるとバラは無数にあることを知り、大事に育てたバラは数ある中の一つでしかないと気がつきます。それでも、星の王子様は自分の星にあったバラがとても大事な存在であったことに変わりはありませんでした。

つまり、時間を費やして絆が結ばれたものは、他人にとっては数あるうちの一つにしか見えないかもしれませんが、自分にとってはかけがえのないものに変わっていくということなのだと思います。

そして、絆が結ばれたものには責任が出てきます。家族とは長い時間をかけて一緒に過ごします。その過程で絆が結ばれるため、自然と自分にとってかけがえのない大切なものと思えるのです。逆に、たとえ家族であっても絆が結ばれない関係しか築けなければ、大切だとは思えないということではないでしょうか。

絆を結ぶというは次のような表現でも書かれています。

「子供たちは、ぼろきれのお人形に時間を費やす。だからそのお人形はとっても大事なものになる。子供たちだけが、何をさがしているのか、わかっているんだね」

過去を思い出してみましょう。思い出すと心が締め付けられるような懐かしいようなモノがあるはずです。あれば、それは自分と絆がきずけたものであり本当に大切なモノだったはずです。そして、それを見つけるときは人の目には見えず、自分の心で探さないと見つからないのです。

大人になって、知識や経験を積み重ねていくうちに物事を頭で考えるようになってしまっているのではないでしょうか。自分にとって有益かどうか、世間からの評判はどうか、人から見られた時に誇らしく見えるかなどを考えて行動してしまっていないでしょうか。私もどうかと聞かれると、頭で考えて行動してしまっているような気がします。

そうであったとしても、一つでも自分にとって本当に大切なものを見つけることが出来たら、なにかとても心が温まるような気がします。大切なものを見つけることが出来たのなら、次にしないといけないことはその絆を守っていくということになります。そこでも、やはり大事になってくるのは心ではないかなと思います。

まとめ

「星の王子様」を読み終えて、私は何ともいえない気持ちになりました。自分にとって本当に大切なものが目の前に浮かんでくると、感動したというよりも、とても切なく温かい気持ちになりました。

自分が思い浮かべ大切だと思っている人たちは、どう思っているのだろうか?私のことを大切だと思ってくれているだろうか?私は絆を築くことが出来ているのだろうか?と考えてしまします。これからを後悔しないためには、自分が大切だと思う人たちと絆をきずくことをおろそかにしないことではないでしょうか。そうした生き方が出来たのであれば、きっと後悔することはないような気がします。

「言葉は誤解のもとだから」

これは、「星の王子様」の中で語られた言葉です。星の王子様は様々な見方が出来るとても奥の深い作品です。私が読んで感じたことと別な人が読んで感じたことは違うかもしれません。ぜひ、「星の王子様」を読んで見て自分の心で感じて欲しいなと思います。

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