【社会保障】 わかりにくいけど年金のはなし~私たちが知っておくべきこと~

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2020年3月に年金改正案が国会に提出されました。微小な変更はあるかもしれませんが、基本的には改正案は国会の審議を経て可決されることになります。年金の制度や内容はわかりにくく、専門家でもよくわからない部分があると言われているほど複雑なものですが、この改正の内容をほとんどの国民が知ることなく可決されることになります。

年金は私たちの生活を支えてくれることになる大事な制度であり、年金制度は私たちが知っておかないといけないことの一つです。それでは、今回は2020年の改正内容を含めた年金制度の概要について紹介していきたいと思います。

年金制度とは

まずはじめに知っておかないといけないことは、年金とは日本国民全てが加入している制度だということです。以下の図で示すように年金には「国民年金」と「厚生年金」の2種類が存在し、それぞれに「老齢年金」「障害年金」「遺族年金」が存在します。会社員や公務員が加入している厚生年金(又は共済年金)は、国民年金を基礎とした保障を受けることが出来ます。

障害年金

年金制度について

年金ときくと、一般的なイメージとしては老後にもらえる年金ですが、これは老齢年金に相当します。遺族年金は扶養してくれる家族が亡くなった場合にもらえる年金です。そして、障害年金はうつ病を含めた病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合にもらえる年金です。

遺族年金や障害年金はある種の保険の役割をもっており、もしかしたら私たちが明日からでもお世話になるかもしれません。私たち日本人はこうしたセーフティネットで国から守られていることを自覚しないといけないのではないかと思います。

年金の加入者の呼び方

年金の加入している立場によって呼び方が変わります。国民年金にのみ加入している人は「第1号被保険者」と呼ばれます。自営業者や老齢者、子供がこれに該当することになります。厚生年金や共済年金に加入している場合は「第2号被保険者」と呼ばれます。この「第2号被保険者」の被扶養配偶者(夫がサラリーマンであればその妻)は「第3号被保険者」と呼ばれます。第3号被保険者では第2号被保険者(夫など)が代わりに保険料を払っていることになり、本人が保険料を払う必要はありません。ただし、扶養配偶者が定年退職した場合は第1号に変わります。

サラリーマンの方など年末調整書く場合などに第3号被保険者という言葉が出てきて難しく思うかもしれませんが、定義自体は難しくないことがわかって頂けるのではないかと思います。

老齢年金はどれだけもらえるの?

年金が老後のものだけでないことは先ほど説明しましたが、多くの人にとって遺族年金や障害年金はもらう機会がほとんどないのが現実です。ですので、やはり気になるのは老後にもらえる年金の額になるのではないかと思います。

年金の支払額は平成30年度では国民年金で各月で1万6340円となっており、厚生年金では標準報酬月額の18.3%となっています。厚生労働省では平均寿命(※)まで生きた場合を想定した支給額の資産を行っています。厚生年金では3300万円の保険料を払い、給付額は7600万円となっています。国民年金では1200万円の保険料を支払い給付額は2100万円となっています。厚生年金で2.3倍、国民年金で1.7倍の受け取り額が多くなる試算になっています。

現在では、保険料を払っても年金がもらえないというのは間違った知識になります。しかし、今後どうなっていくかはわかりませんので、冷静にこの先の年金のことについて知っていくことが必要になるのではないか思います。

※平均寿命:2050年時点で男性80.95歳、女性89.22歳

2020年 年金改正の狙い

年金改正の内容はいくつかありますが、その中でも改正内容が大きかった2つについてみていきたいと思います。

受給開始年齢の拡張

老齢年金は65歳から受給することが出来ますが、この受給年齢を60~70歳の範囲で繰り上げまたは繰り下げることが出来ます。今回の改正では、この受給年齢が60~75歳に拡大される見込みです。受給年齢は繰り下げることで、繰り下げた月分で0.7%年金額が増えていきます。最大75歳まで繰り下げた場合、1.84倍の年金を終身で受け取ることが出来ます。

つまり、65歳から受給を開始した人と比べ、75歳から受給を開始した人は96歳まで生きることが出来たなら年金の総支給額が上回る計算になります。ただし、65歳から75歳までの間で年金の支給額以上を稼ぐ人であれば働いた方が良かったりするかもしれません。

このように、今回の改正によって働き方の幅が広がったことになりますので、これをきっかけに自分の受給開始年齢と老後の働き方について考える良い機会になるのではないかと思います。

適用範囲の拡大

今回の改正で最も大きな変更点が、パートタイムなどで働く短時間労働者に対して厚生年金の適用が拡大されることです。

<主な変更点>

・雇用期間1年以上⇒2か月以上

・会社の従業員数501人⇒101人以上(2024年10月からは51人以上)

この改正により、より多くの短時間労働者が厚生年金の被保険者となり、勤め先の健康保険に加入することが出来ます。その結果、病気などで休業した場合の傷病手当金などの保障が充実するとともに、老後の年金額を増やすことができるようになります。

一見労働者にとって良い変更に見えるかもしれませんが、これは今後短時間労働者が増加することを示唆する国からのメッセージでもあるという見方もできます。こうした制度の変更点を見ていくとこれからの世の中を国としてどのように推し進めていこうとしているのかが少しずつ見えてくるのではないかと思います。

まとめ

年金制度は私たち全員が加入しており、老後の生活を支えてくれるだけでなく、いざという時に私たちの生活を守ってくれるセーフティネットとしての保険の役割を持っています。現在までに、いくつかの改正を加えられながらも年金制度は維持できていますが、これからも同様な制度が続いていくかはわかりません。数年後には年金制度が無くなっているなんてことも無くは無い話だと思います。

こうした時に困らないように、年金制度に関わらず社会の様々なことを自分事として考えていくことが大事ではないかと思います。

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