【メンタル疾患の正しい知識】精神病に対するイメージはなぜネガティブなのか?現在は精神病という病名はありません。

メンタル疾患
メンタル疾患

うつ病に代表される精神疾患(メンタル疾患)になった場合、精神科や心療内科で診察や治療をしていくことになります。まったく知識がない人が「精神科」ときくとネガティブなイメージを持ってしまいます。

私もそうでしたので、このこと自体はしょうがないことのように思います。しかし、私も知らず知らずのうちに持ってしまっていたこのネガティブなイメージはどこから来るのでしょうか。

実は現在では精神病という病名は存在していないという事実はあまり知られていません。つまり、現在多くの人が持ってしまっている「精神科」に対するネガティブなイメージは、昔に存在していた「精神病」という病名によるイメージが強く残っているためだと考えられます。

そこで今回は、過去に精神病と言われていた病気と現在の精神疾患についてまとめてみたいと思います。

精神病とは何だったのか

 

精神病のもつイメージ

精神病に対するネガティブなイメージの意見は、「鉄格子のある暗い部屋のなかで暴れまわる人」「残忍な事件を起こす」「気がへんで何をしでかすかわからない人」「かかったら恥ずかしい」といった回答が挙げられます。まさにイメージ画像のような鉄格子がありとても不気味で近寄りがたいイメージをなんとなく持ってしまっています。

鉄格子のある隔離病棟のイメージ

私が小さい頃には「頭大丈夫?黄色い救急車に乗った方が良いんじゃないの」とからかい半分に言われたことを聞いたことがあります。黄色い救急車とは頭がおかしい人を精神病院に連れていくときに使われる救急車のことであり、都市伝説のひとつとして広がった言葉です。

黄色い救急車こそ都市伝説

地域によっては緑色や紫色だったりしますが、当然のことですがこれらが存在したという事実はなく、都市伝説は完全な嘘であり、噂の出どころもはっきりしていないのが事実のようです。

このような都市伝説が広まってしまった時代背景があるように、精神病に対するイメージは子供じみたからかいの一種の風評的な印象として広まり根付いてしまったのではないかと考えられます。また、ホラー映画をはじめとした薄暗い病棟の描写もこのようなネガティブなイメージに影響はしているのだと思います。

精神医学の歴史

現在における精神医学の歴史は18世紀までさかのぼります。ドイツのクレペリン(1856~1926)によって、早発性痴呆(または精神分裂病、現在の統合失調症)と躁うつ病(双極性障害)の概念を明らかにしました。これらは基本的に治りにくい病気であると考えられており、現在では使用されることは無くなりましたが、1930年代にインスリンショック療法や電気ショック療法などが治療法として開発されました。

現在でも残っているネガティブなイメージは漫画やドラマ、小説などからこの時代の治療法について知ったことによる影響が大きかったのだと思います。医療や科学がまだまだ発達していなかった昔の時代では現在ではありえない治療法が平気で使われていたりしていましたが、特に電気ショック療法は見た目にもインパクトがあるため、精神病といったら電気ショック療法というくらいイメージとして残ってきたのだと思います。

1950年代になってからは、これらの病気に有効な治療薬(第1世代抗精神病薬)が発見されており、患者の治療や社会復帰が可能となってきました。その後も、医療は進化し、1990年ごろからは第2世代精神病薬が使われるようになり、精神科病院は開放的なものになってきました。

現在では、薬物療法、精神療法、作業療法、レクリエーション療法などの組み合わせと外来療法が治療の主役となってきており、ホラー映画などで描かれている暗いイメージとはかけ離れたものになっています。

昔の精神疾患の種類

精神疾患(メンタル疾患)といっても実はいくつか存在しています。昔の精神疾患は大きく「神経症」と「精神病」に分けられていました。

神経症は、英語ではノイローゼ(Neurose)と訳されます。神経症は、こころが疲弊してしまっている状態のことを表しており、不安、抑うつ、イライラなどの症状が出ることを言い、現在でいうなら不安障害やうつ病などに該当します。神経症でも精神的な症状は認められますが、周囲にとって理解不能な症状を取ることは少ないため、精神病よりは重症ではない状態と考えられていました。

一方で、「精神病」は英語ではサイコシス(Psychosis)と訳されます。神経症よりも重篤な状態にあり、周囲にとって理解困難な症状をきたすようになる状態と考えられていました。幻覚や妄想などが認められ、現在でいう統合失調症や双極性障害などに該当します。

しかし、この「神経症」、「精神病」というざっくりした分類は、「精神病症状があるか」「重症度が高いかどうか」で無理やり二分したものになり、現在ではほとんど用いられなくなっています。

現在の精神病の言葉の使われ方

今となっては古い概念になりましたが、現在でも一部の診断基準には「精神病」という概念が残っています。

例えば、

「精神病性の特徴を伴ううつ病」

「気分に一致する精神病性の特徴を伴う双極性障害」

などのように使われます。精神病性とは「幻覚や妄想といった症状をきたしている状態」を表します。幻覚とは「本来であれば、無いはずの近くを体験する」ことを言います。幻覚の種類は、以下の4つがあります。

幻視 本来見えないはずのものが見える

幻聴 本来聴こえないものが聴こえる

幻臭 本来臭わないものが臭う

幻味 本来感じないはずの味を感じる

妄想とは「本来であればあるはずのない事をあると思いこむこと」をいいます。だれでも、あったら良いなといったことを考えたり想像したりしますが、妄想とはこれらと違い非現実的・非合理的なことを信じ込んでしまった状態になります。周囲から見ると全く理解できない言動をとってしまっているならば幻覚や妄想の症状をきたしている可能性が高いと考えられます。

精神疾患の種類

繰り返しになってしまいますが、精神病と精神疾患は同じ意味ではありません。精神疾患は、精神科的な疾患を総称する用語です。現在の精神疾患の種類は、

統合失調症

双極性障害

うつ病

不安障害(パニック障害は不安障害を代表する症状)

外傷後ストレス障害PTSD

解離性障害

器質性精神障害

など様々です。これらに対して、精神病という表現は 「幻覚や妄想といった症状をきたしている状態」に対してのみ使われます。

精神病性のある代表的な疾患

精神病性のある代表的な疾患には統合失調症が挙げられます。統合失調症は、急性期はドーパミン過剰となり、幻覚妄想状態となりますが、慢性期になると反対にドーパミン量が低下し、活動性が低下しがちになり自閉や無感情などの感情麻痺が認められるようになります。

また、統合失調症の治療に使われるお薬は「抗精神病薬」と呼ばれます。

統合失調症は精神病性の症状を伴うことが多いのですが、統合失調症以外でも精神病性の症状は出ることがあります。厳密に言えば、「統合失調症」は「精神病」ではなく、統合失調症の治療薬を「抗精神薬」と呼ぶのは本来はおかしいのですが、昔からの名残が現在でも続いているのが現状です。

また、双極性障害も精神病性が認められることが多い疾患です。双極性障害は気分が異常に高揚する「躁状態」と、気分が異常に低下する「うつ状態」、そして気分が正常範囲内に収まる「寛解期」を繰り返す疾患です。このうち、躁状態のときに精神病性が顕著となります。

精神病と勘違いしやすいサイコパスという言葉

精神病を患っている人の英訳は、psychiatric patient だったりmental patientが使用されます。

サイコパス(Psychopath)という言葉をよく耳にしますが、こちらは異常心理学や生物学的精神医学などの分野で精神病室者のことをさすときに使用されます。サイコという言葉が使われて、同じようなイメージを持ってしまいがちになりますが、サイコパスと精神病は関係しないことに注意しないといけません。

まとめ

うつ病などの精神疾患に対して認知度は広まってきてはいますが、精神科ときくとネガティブなイメージを持つ人たちが大多数なのがまだまだ現実です。この原因は情報や知識の不足により、過去の悪いイメージを持ち続けてしまっているためだと考えられます。

わたしも自分で勉強するようになるまでは、多くの人たちとなんら変わることのない漠然としたイメージしか持ってこなかったので、ある程度は仕方のないことだと思います。しかしながら、過去の悪いイメージを持ち続けてしまっていると、本当に困っている人たちにとって回復の妨げになるばかりではなく、いざ自分がという時に困ってしまします。

そうならないためにも、医学は進歩しているという正しい知識を身につけ、何気なく持ってしまっているイメージは変えていく必要があると思います。元気で問題ないという人たちこそが、病気に対する知識をぜひ身につけていって欲しいと思います。

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